グローバル化と日本の野球 ~危機的状況を迎える日本の野球~

《はじめに》

今、日本の野球が危機的な状況です。

 

きっと気づいている人は少ないでしょう。

 

私は39歳まで物心ついた頃から野球漬けの人生でした。選手として大学まで野球を続け、指導者として16年間勤めてきました。

 

私の思想や人格、人とのつながりなど、多くのものを野球によって学ばせてもらいました。

 

私にとって野球には大きな恩があります。

 

しかし、もう一度言いますが、日本の野球は危機的な状況にあります。


少子化』と『子どもたちの野球ばなれ』であります。

 

このままでは、日本の野球が衰退していくことがいよいよ現実になってきています。

 

この状況を少しでも改善し、日本の明るい未来に野球を受け継いでいくために何ができるのか。一指導者として、一野球人として考えてみました。

 

デンマーク、スペイン、クロアチア、フランス、タンザニア、アメリカ、オーストリアカンボジアなど世界の様々なスポーツ現場に飛び込んできました。ストリートのスポーツからプロスポーツまで幅広く触れることができました。

 

スポーツにおけるグローバル化の視点から今回は、日本の野球について私の感じたことを述べさせていただきます。

 

目次
(1)子どもの野球ばなれ対策の必要性
(2)中学、高校の部活動の在り方
(3)プロ野球と野球界全体への提案

 
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(1)子どもの野球ばなれ対策の必要性(3点)
①最も難しいスポーツ野球と理解

最も難しいスポーツ。それが野球です。

なぜ難しいのかわかりやすく説明します。

 

サッカーは最も簡単にできるスポーツ。

野球の難しさとは対照的なスポーツ。その証拠にサッカーは世界中で楽しまれています。

 

サハラ砂漠手前の町メルズーガでもやってました。マサイ族もやってました。そんな地球規模のスポーツです。

 

なぜ簡単と言えるのか。

サッカーは幼稚園児でも成り立ちます。

ゴールにボールを手を使わないで入れる。実にシンプル。

 

個人の能力が低くても仲間でカバーしあって点は入ります。試合が成立します。

 

ところが野球はどうでしょうか?

 

幼稚園児がピッチャーをやる。

ストライクが投げれなかったら試合は成立しません…

バッターのバットにボールが当たらなければ…

キャッチャーがボールを取れなければ…

飛んだ打球を野手が取れなければ…

 

ざっと挙げただけでも、試合を成立させるのが大変だということがわかるはずです。

 

つまり、試合を成立させるためにいかに複雑な技術が必要なのか理解できると思います。

 

他にも、ストライクとは?カウント、アウトセーフなどルールは数えきれない程あります。

 

複雑な技術だけでも大変ですが、それに加えて複雑なルールまであります。

 

普通に考えたら、シンプルにできるサッカーをやるのは自然なことでしょう。

 

その難しいスポーツとわかった上で、指導者が子どもたちと関わっているか。

 

大人ですら難しいのが野球。

 

それを叱られたり怒鳴られたり失敗を責められる。

 

そこから見つめ直す。

 

これがスタートです。

 
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②全員が主役(楽しむ機会を増やす)

野球は9回までやると約2時間前後かかります。

 

しかし、実際にボールが動いている時間はどれくらいでしょう?

 

たったの10分。

 

それ以外は実際にプレーに関わらないのです。

 

それを理解できる人であるならば、子どもたちには、野球の楽しい時間をたくさん経験させてあげたいと思うのではないでしょうか?

 

なぜなら、自分が子どもの時、野球に魅了されたのは、ヒットを打つ時の快感だったり、自分が活躍した時だったはずです。チームプレーはその次に生まれるのが自然でしょう。

 

たくさん打つ時間を作ったり、いいプレーにはほめてあげたり、一緒に喜んだり。

 

試合もやさしいものから始めるのも1つの方法です。

 

野球の本場アメリカ、カナダやオーストラリアなどでも子どもたちに人気でした。

小学生では、ティーゲームで試合をしていました。

 

ベースの上にあるティー台にボールを乗せ、止まったボールを打って試合をする。

 

複雑で難しい野球をいかに子どもたちが楽しめるようにできるか。見ていてそれがよく伝わってきました。

 

オーストラリアで平日野球の練習に参加させてもらったときには、全体で練習するとき、グループに分かれて効率よく練習する時と分かれており、小学生ながら退屈にしてる時間がほとんどありませんでした。

 

いい意味で子どもたちは主役。

 

そういう子どもたちを楽しませてあげる様子と

干渉すべき部分と子どもに任せる部分のバランスが大事です。

 
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③世界の超一流から学ぶ

アメリカでバスケットボールの最高峰NBAの試合を観ました。本当に大興奮しました。

 

選手の体格、スピード、技術が超がつく一流であることはもちろん言うまでもありません。

 

その中で僕はハーフタイムのコート上の光景に感動しました。

 

世界最高峰のNBA

 

そのバスケットボールコートで

子どもたちが試合を始めました。

 

子どもたちの憧れの場所でプレーさせてあげるその心意気に感服しました。

 

 ☆プレーする子どもたち!観客からは大きな拍手!なんと女の子もプレーしてました!
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実はそれに通じる経験をもう1つしました。

オーストリアのウィーン。本場のオペラを観賞しました。歴史ある超一流のオペラです。

 

人生初めてのオペラ。

主役の第一声で心を鷲掴みにされました。

終わった時には感動で大拍手をずっとしていたのを覚えています。セリフの言葉はほとんどわからないのにです。

 

その入場料。

 

わずか4ドル(約500円)。

 

もちろん、高い席は何万円もします。

なぜ、そんな値段で入れるのか。

 

『本物の芸術を、一流の芸術に触れてもらいたい』

 

さすがは芸術の都ウィーン。

芸術を本気で愛するがゆえの懐の広さ。

その心意気に心が震えたのを覚えています。

 

根底にあるのは、子どもたちや若き青年の未来のことを真剣に思う心でした。 


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(2)中学、高校、大学の部活動の在り方
①歴史と変化へのバランス

日本の野球には素晴らしい歴史があります。他の国にはない日本ならではの野球があります。

受け継いでいかなければならないものもきっと多くあるでしょう。

 

その中で今、時代は劇的に変化しています。

大人も社会も国も対応しきれない程の急激な変化です。

 

日本の明治維新や世界の産業革命をしのぐ程の大きな変化とも言われています。

 

それに伴い、社会が求める人間像も大きく変化しています。

 

そこを見据えた上で中学、高校、大学の部活動を実施する必要があるのは間違いありません。

 

学校の部活動は、学生と社会をつなぐ視点を常に持つべきです。

 

今までの日本の野球の受け継ぐべき点と、時代と共に変化させなければならない点を知恵を出し合い見極めることです。

 

不易流行。

 

明るい未来のためにいかに子どもたちを育てるか。部活動のあり方を真剣に見直す時ではないでしょうか。

 
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②なんのための野球か

子どもたちはなんのために野球をやっているのか?きっと意見はいろいろあるでしょう。

 

私の意見はこれだけです。

 

『楽しいから』

 

それ以上でも以下でもない。

 

礼儀や忍耐力、様々な生きるためのスキルは

後付けです。

 

楽しいからやる。好きだからやる。それでいい。逆にそうじゃないからおかしな方向へ進んで行く。

 

その原点を見失っては主役の子どもたちが、不要な苦しみを味わうのではないだろうか。

 

何のための野球なのか?

 

もう一度、野球に関わる人間が見つめなければならない気がしてなりません。

 

 

③指導者が幸せでなれば選手は幸せになれない

これからの野球をより豊かなものにするためには、指導者が幸せであることが不可欠です。

 

指導者が楽しそうにしていてこそ、はじめて子どもたちが楽しめるスタートラインに立てる。

 

指導者が疲れきって、ストレスに追い込まれた状況では、子どもは安心して楽しめないでしょう。

 

以前の私は、そう見せないよう必死に繕っていましたが、子どもたちには見破られていたはずです。

 

子どもたちの澄んだ目ほど、鋭く本質を見抜くものはありません。ごまかしは利きません。

 

もっともっと指導者が、楽しんで野球に関われるようにしていくことも大切なことです。

 
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(3)プロ野球と野球界全体への提案(3点)
メジャーリーグにはない魅力は何か?

 

日本のスター選手のメジャー行きはますます加速していきます。それは同時に日本のプロ野球の今後を大きく揺るがす事実です。

 

日本のプロ野球にしかない魅力。

そこをきちんと見いだして強固なものにしていかなければなりません。

 

例えば、地元出身の選手を中心としたチームづくり。そして、ファンとの交流。地域との交流を深めていくことが挙げられます。

 

僕が実際に観に行ったニューヨークヤンキーストロントブルージェイズも地元の人に愛されていました。ユニフォームや帽子をかぶり、スポーツバーで楽しむ姿など町の様子からも

地元に根付いているのがよくわかりました。

 

試合前のメジャーリーグの練習では、ホームランボールを取る姿や練習中のボールを何度も観客席に投げてくれたり、合間に写真やサインをしてくれたり、ファンを大切にするのがとても印象的でした。

 

また、種目は全く違いますが、世界的にも有名なカンボジアのサーカス。講演の後、ステージで演者と握手したり写真をとったり交流できる時間があった。ジャカルタJKT48も観に行ったが、最後の握手での見送りはやはり嬉しいものでした。

 

日本のプロ野球メジャーリーグにはない魅力、日本だからこそできるものを追求していくことです。なぜなら、日本のプロ野球が野球人口が広がることに大きな影響があるのは事実だからです。

 
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テレビ離れ

YouTubeなどネット社会の劇的な拡大により、テレビばなれも加速しています。私も先日、部屋のテレビを外しました。私のこれからの人生に必要ないと感じたからです。

 

プロ野球をテレビで楽しむ時代に陰りが出ています。いかに球場に足を運んでもらえるか。

テレビで野球を浸透させることができない時代になろうとしています。

 

体験が勝負。

体験こそすべて。

そこでいかに野球の楽しさを感じさせてあげられるか。

 

 

③世界のトップスポーツとの交流

日本の教育現場でも『グローバル化』の必要性が声高に叫ばれています。

 

日本のプロ野球も世界のプロスポーツ、もしくは発展している文化、芸術の世界からそのあり方を学ぶ必要があります。

 

やはり、組織のトップは全体を俯瞰的にとらえた上で、小さな子ども、学生、アマチュア、プロと全体をコーディネートする必要があります。

 

日本の独自の良さは、逆を言えば世界の流れから逆行した時代遅れのやり方にもなり得るからです。

 

世界の流れを把握しながら、日本のあり方を見極めていけるよう、世界のトップスポーツをプロ組織の現場にいる人間、しいては国のトップにいる人間が知らなくてはならない。

 

付け加えるならば、教育現場の指導者たちも幅広い見識を深めていくためにも、生活にゆとりを持ち、自由に行動できる配慮も必要です。

 

《おわりに》

私は偉そうなことをひたすら書きました。黙っていては何も変わりません。書かなければ何も始まらないからです。

 

私は野球に育ててもらいました。

だからこそ、これからの野球について私なりの意見を書かせていただきました。賛否両論あって構いません。むしろなければ良いものは生まれません。

 

一人でも多くの人が、日本の野球について真剣に考え、行動し、協力していくことを願っています。